第8章 適合者
「保科…ワレ誰の許可取ってワシの縄張りに足踏み入れとんじゃぁあ!」
火のついていない葉巻を咥えながら鳴海は威嚇する。
そんな鳴海とは裏腹に普段通りのニコニコした表情の保科は口を開く。
「これはこれは鳴海隊長自らお出迎えとはご大層で…許可なら隊長の"さらに上"の本部から取っとりますんで、お気遣いなく」
「いーや、ダメだ!この基地はオカッパと細目は立ち入り禁止だ!お前は2つとも当てはまってる!」
「あれあれ?もしかしてまだ根に持ってますぅ?討伐演習ランキング小型怪獣部門で僕が鳴海隊長抜いてしもたの…」
「グサっ)ううっうぐっ、ぐあっ!!」
保科の言葉は見事鳴海にクリーンヒットし、鳴海は背後へと飛ばされた。
それが合図となった…
「ああっ!隊長!!何しやがるテメェら!」
「何もしとらん」
「大体先月の杉並の件、まだ終わってねえからな!うちの管轄(シマ)で勝手に討伐しやがって!」
「余獣の一部は三鷹に入ってた。その延長上で本獣も討伐したまでだ」
「じゃあこっちの許可を取りなよ!許可を!!」
「いちいちそんなもん取ってられるか!これだからエリートさんは!」
いつものように言い合いが始まる両部隊。
それを加熱させるように鳴海は声を張り上げた。
「お前らもっと言ってやれ!!記録だって保科が塗り替えたのは小型のみ!それ以外は全て僕がタイトル保持している!!」
鳴海の言葉に保科はクイッと口角をあげ…
「遠距離射撃部門は亜白隊長が持ってませんでしたっけ?あー、あとこれらの部門の3位は全て"ウチ"のでしたね〜」
「ぐはっ…うっ…」
再び保科の言葉は鳴海を打ちのめした。
その場に倒れた鳴海、それに駆け寄る部下達は詰め寄った。
「隊長!!なんでそんなすぐバレる嘘ついたんすか!!」
「うるさい!うるさい!はお前のモノではない!!!とりかくお前は気に入らん!今すぐ出て行けー!!バシッ!)ぐはっ!」