第7章 代償
『…代償…』
10号と話をし終え、保科副隊長に外で待って欲しいと言われて待っていた。
実は10号と戦うと決めた時に、再び頭の中で声がした。
声の主は分からない。
ただ"代償"と単語だけが突然聞こえたのだ。
なんとなく代償は記憶のことではないかと思った。
何故代償が記憶なのか…
それは分からなかった。
でも今はそれどころではない。
『ッ…一刻も早く戦力にならなくちゃ…』
期待に応えたかった。
保科副隊長は勿論、皆んなの…
記憶をなくした私に皆んなは大丈夫だと言ってくれた。
でも現実は大丈夫ではない。
日本防衛隊長官の四ノ宮長官が亡くなったのだ。
その現場に私もいたそうだ。
自分の力不足で長官が亡くなってしまったのではないかと思った。
だとすれば私にできることは1つ…
長官の仇を取ることだ。
記憶がなくても戦える。
そのことは証明できた。
今の私にできる事はさらに強くなるしかない…
もう誰も死なせたくない…
そう強く心が叫んでいた…
きっとその叫びは記憶をなくす前の自分の声…
そんな気がした。
『負けるわけにはいかない…』
強くなるには大きな壁を越えなければならない…
保科宗四郎という壁を…