第7章 代償
廊下を歩いてると見覚えのある人がおった。
暫く無言の時間が過ぎた…
これ僕から話しかけなあかん感じ?
「お疲れ様です、鳴海隊長。残念ですけど面会時間は終わりましたよ」
「ッ!そんなの分かっている!!…話さなかったのか?」
ああ、そーいうことか…
鳴海隊長が言いたいことは大体分かった。
多分僕とが恋人同士やってことを話してへんのかって言うてるんやろう…
「ええ、話してません」
「何故だ?」
「混乱すると思ったからです。今それを言うてもを困らせるだけやし…僕はが生きてくれてたらそれでええんです。それにもっかい僕に惚れてもらうだけです」
開眼した保科の瞳はギラリと光った…
「なっ!!!それは宣戦布告と取っていいのか?」
この人はほんまに困った人やな…
「ええ、勿論です」
「ふっ…ならオカッパ!今度は恨みっこはなしだ!正々堂々と勝負だ!!」
「この勝負は僕が勝たせてもらいますよ、鳴海隊長…」
「上等だ!オカッパ!!!」
僕は知ってる、あの日鳴海隊長はを守る為にあの女を抱いたことを…
そのことを今までずっとに隠し続けていたことを…
実はちょっと後悔してた。
あの日のことが無かったらきっとと付き合うことはなかったと思うねん。
もしかしたらにこの事をずっと黙ってたからその代償としての記憶が失くなったんかもしれやん…
せやから今回は正々堂々と勝負するんや。
だけは譲れやんのや…
僕の隣には彼女がおらなアカンのや。