第7章 代償
「はぁ…」
"頭を強く打った衝撃で記憶障害が起こっている可能性があります。
…記憶が戻るかどうかは正直なんとも…"
医者の言葉が頭ん中で何回もリピートしてた。
こうハッキリと言われてしまうとかなり堪えるもんや。
手のひらの中にあるモノを握りしめた…
の指輪や。
蘇生処置の際に外されて僕がずっと預かってたんや。
目が覚めたら返そうと思って持ってきたんやけど、流石に記憶がないのに指輪渡して僕が彼氏やでって言うのも混乱させてまうやろ…
暫くは僕が預かっとこ。
医者からは今は混乱してまうからあんまり昔のこととかは言わんようにした方がええと言われた。
せやから今はの記憶が戻るのを祈るしかない…
なによりが生きててくれたことに感謝や。
「はよんとこ戻ろ…」
もしかしたらなにか思い出してくれてるかもしれんし!
の病室へ早歩きで向かった。
彼女の病室の前に着いた時やった…
「はぁー!?お前ら医者だろ!!!なんとかしろよ!」
「はぁ…もう来たんかいな…」
病室内から聞こえた声にため息が出た。
またややこい事になりそうや。
僕は慌てて病室の扉を開いた…
そこにいたのは…
「鳴海隊長、落ち着いて下さい」
「オカッパ〜!!落ち着けるわけないだろ!!本当にボクの事覚えていないのか!?」
『ッ!!ご、ごめんなさい…』
鳴海隊長の声に驚いたはベッドの横に座っていた亜白隊長の後ろに隠れ、小さな声で謝った。
その姿はまるで小さな子供のようや。
不覚にも可愛いと思ってしまう…
きゃんきゃん言うてる鳴海隊長を静かにさせたのは…
「鳴海、いい加減にしろ。」
「ッ!!亜白…」
隊長やった。