第6章 眠り姫
「そろそろ入ってきたらどうですか?」
隊長も小此木ちゃんも少し前に部屋を出て行ったこともあり、室内には心電図の音がやけに響き渡ってた。
隊長らが出て行ってからすぐ、人の気配を感じてた。
部屋に入って来ぇへんとこから見てアノ人やろなーっとは思ってた。
なかなか入って来やんし、どっか行く感じでもなさげやから声をかけてみた。
そしたら…
「ッ…の様子はどうだ」
やっぱり…鳴海隊長やった。
僕は椅子から立ち上がり、鳴海隊長の方へ視線を移した。
前髪がかかって見えんけど、落ち込んではるのはよう分かった。
「今日が山場みたいです、頭のダメージが大きいようで…」
「ッ!…オカッパ、すまなかった」
頭を下げる鳴海に保科は少し驚いたものの、彼は冷静に鳴海に声をかけた。
「謝らんで下さい。鳴海隊長は悪くありません、悪いんは9号です」
「然しだ!ボクがいながら…ボクがあの時を四ノ宮達の方へ行かせなければ…」
鳴海の言葉に保科は小さくため息を吐くも、すぐさま言葉を返した。
「僕も同じ判断してたと思います。あの状況下、変身でけへんカフカと新人隊員である四ノ宮だけでは力不足。を向かわせる判断は間違ってなかったと思います」
「ッ…すまなかった」
「は必ず戻ってきます…せやから…」
「なっ!オカッパ…調子に乗るな!!!」
謝ってばかりの鳴海に保科は少し挑発をしてみた。
するとあっという間にいつもの調子に戻った鳴海…
そんな彼を見て保科はフッ…っと小さく笑った。
が目を覚ました時、鳴海が本調子でなければは必ず自分を責めると保科は考えたのだ。
"せやから、いつもの調子に戻らんとのこと僕から奪えませんよ?"
鳴海は保科の言葉に救われた。
そしてが保科に惚れた理由もなんとなく分かった気がした。
然し、鳴海は諦めるどころか…
"面白い、オカッパめ…絶対には僕のモノにしてやる!!!"
さらに保科に対する対抗心が燃え上がってしまったようだ。