第4章 動き出した9号
「わざわざすみません、補佐官もお忙しいのに…」
『ふふ、気にしないで。ほんと困った人よね』
四ノ宮さんと2人で隊長室へと向かう。
先日四ノ宮さんの個別の訓練の相手をしてあげてと言ったのに、1週間経った今もまだ相手をしていないそうなのだ。
昔から訓練をサボりまくる彼。
然しその強さは圧倒的なもの。
才能?持って生まれたセンス?
否、違う。
私は知っている、皆が寝静まったタイミングで彼が密かに鍛錬していることを…
彼の強さは勿論、才能もある。
でも誰も見ていない、知らないところで彼が血を滲むほどの努力をしているからこその賜物。
素直に褒められるのが得意ではない彼は本当に不器用だと思う。
だけど後輩たちの為にも訓練には付き合って欲しい。
この先、彼の力だけではいつかは限界がくるのだから…
そんなことを考えながら歩いているとあっという間に隊長室に着いた。
「鳴海隊長!今日こそ個別の訓練に付き合って下さい!!!あっ!」
キコルが話しながら扉を開けた瞬間大きく瞳を見開いた。
一方では大きなため息をついたのであった…