第3章 譲れないモノ
鳴海said
「…なんだ、長谷川」
軽く打ち合わせをし終えてもなかなか部屋を出ない長谷川。
どうせゲームをしながら聞いてたから説教だと思ってた。
然し、長谷川の答えは意外なものだった…
「いいのか?鳴海、本当のことを言わなくて」
「ッ…別に構わない」
恐らくのことだ。
長谷川が言いたいことは"あの日"のことだろう…
あの日、ボクがあの女を抱いた理由。
を守るためであったことを…
それを言ったからと言ってがボクの元へ戻ってくるとはとは思わない、それにボクが嫌なんだ。
を傷つけていたことに変わりはないし、なにより同情でよりを戻すのはこのボク様にはダサいだろ?
それならに惚れ直されたいものだ。
だからこのことをに言うつもりはない!
そこは譲れない、ボクのプライドが許さない。
ボクの答えに長谷川は小さく笑い、そうかと言って部屋を出て行った。
誰もいなくなった部屋はやけに静かに感じた。
「はぁ…やはり許せん…」
頭に浮かぶのはあの細目のオカッパ…
あの嫌味ったらしい関西弁…
の男がボクよりいい男なら諦めがつく、然し…
然しだ!!
オカッパだけは…
「認めん!!!ぜーったいに!!結婚なんて許さーん!!!」
隊長室から響き渡る声に長谷川は小さくため息を溢したが、どこか嬉しそうであった。
保科がの彼氏であることを知り、暴走した鳴海…
然し、そのことに対してしっかりと反省しに向き合う姿に長谷川は感心していた。
鳴海はのことが本気で好きなんだと…
あの日のことも鳴海自身からは絶対に言うことはないだろう。
意外と漢らしいではないかとちょっぴり鳴海を見直した長谷川であった。