第3章 譲れないモノ
「ちゃん、宗四郎のことを頼んだよ」
『ッ!はい!こちらこそ宜しくお願いします』
宗四郎の言う通り、彼のご両親はとても歓迎してくれた。
隣に座っている宗四郎はほらな!っとニコニコだ。
彼がご機嫌な理由は他にもある。
それは…
『あっ、宗一郎さんは…?』
「ああ、宗一郎は今日は仕事でな…泊まりのようだ。アイツもちゃんに会えなくて残念がっていたよ」
宗四郎のお兄さん、宗一郎さんが不在だからだ。
同じ防衛隊でも、西と東の基地だとなかなか顔を合わせることはない。
宗一郎さんとは1回くらいしかお会いしていない。
「それは残念やな〜」
そう言いながらも凄く嬉しそうな宗四郎。
宗四郎は小さい頃から宗一郎さんに意地悪を言われてたらしく、かなり毛嫌いをしている。
一度会った時は凄く気さくで良い人だった記憶があるんだけどな…
それを宗四郎に言えば、そりゃ君が相手なら良い人になるがな!っと怒られたことがある。
鳴海隊長のこともあって、さらに嫉妬深くなった宗四郎。
今日は宗一郎さんがいたら多分、明日は立てないくらい抱き潰されていたと思うから良かったと言えば良かった。
『宗一郎さんにもよろしくお伝えください』
「勿論だ」
こうして宗四郎のご両親への挨拶を無事に終えることができたのであった。