第3章 譲れないモノ
『んっ、んぁっ…そ、しろ…あっ』
「っ…愛してんで…ッん!」
空気が薄く感じるのは、激しい情事のせいだろうか…
ギシギシと軋むベッドの音がやけに耳に響く。
汗で頬にへばりつく髪を優しく取り払ってくれる宗四郎…
彼の左手に光る指輪が目に映るたびに、胸が高鳴った。
ほんとに宗四郎と結婚するんだ…
嬉しい気持ちで胸がいっぱいで苦しい。
『あっ、んっ…やっ…ああっ!』
「声…聞かせてや…この甘い声も僕のもんや…」
口を塞いでいた手をベッドへ縫い付けられ、腰を回すように突き上げられた。
あまりの快感に声が漏れてしまう…
ぐちゅ、ぐちゅ…っと厭らしい音が部屋に響き渡る。
その音が余計に私たちを興奮させていた。
再び目の前がチカチカとし出す…
それはもうすぐ達するという合図。
「くっ、…一緒にイこか…」
『ッ!やっ、んぁあっ!!』
腰のスピードを一気に早められれば、快感の波に飲み込まれ私たちはほぼ同時に達した。
『ふふ、そんなに緊張しなくても…』
「するに決まっとるやろ!君の親代わりやし、長官やで!?」
そう言って再び頭を抱える宗四郎…
結婚の報告の為に、功さんに空いている日を聞けばなんと明日空いているとのことだったのだ。
なんとも急なこと…
宗四郎は早いに越したことはないから明日にしよう!っと言ってくれたものの、かなり緊張しているようだ。
そんなに緊張しなくてもいいのに。
だって…
"保科宗四郎か…アイツならお前を任せても安心だ"
っと功さんは宗四郎のことを結構気に入ってくれているのだから。