第3章 譲れないモノ
『ッ私…第1部隊にいきます』
"8号のことで話がある"と功さんに呼び出され、再び本部へと向かった私。
あまり行きたくはなかったけど、日比野さんのことだから無視できなかったのだ。
扉の前に立てば、室内から話し声が聞こえてきた。
盗み聞きするつもりはなかった、でも聞いてしまったのだ…
「やっぱ…お断りします。だって最強の部隊はボクがいれば事足ります。それに…もいないし」
「えっ?」
「では失礼します」
「足りぬ。人に擬似し姿をくらませた9号、防衛隊を意図的に攻撃した10号。ヤツらは明らかに今までの怪獣とは違う。我々は日々進歩し数々の怪獣対策を乗り越えてきた…だが怪獣は依然、未知の進化を続けている…我々もまた進化せねばならんのだ。鳴海…」
『ッ!!』
功さんの言葉で、自分が何故防衛隊に志願したのかを思い出した。
"人を助けたい…誰も死なせなくない…大切な人を守りたい…"
自分は強くなりたいんだ、強くなって大切な人を守りたい。
宗四郎の隣で戦い、彼を守りたいのだ。
そうだ、私は強くならなければならない…
あの頃の自分とは違う。
私には宗四郎がいるんだ…
「ハァ〜、相変わらず功さんはボクを信用してませんね。8号は…兵器化して僕が使うのが最も効果的だ」
『ッ!』
「鳴海隊長、俺はまだ死ねません。信じてくれる…信じてくれてる仲間のためにも。それにやり残したことが…それを果たすまでは…だからしがみつかせてもらいます」
日比野さんの言葉で私は決心した。
私だって…負けてられない!!!
『失礼します…』
私は長官室の扉を開けた…