第1章 電話越しの温度、会いたさの夜に
『……あのね、声だけじゃ足りなくなるね。こうして話してると、余計に会いたくなる』
「……せやな。声聞いてホッとするけど……余計に、お前に触れたなってくるわ」
『……今、隣にいてくれたらいいのに』
「ほんまにな……お前の髪、撫でながら寝たい」
『……センラさんの胸で眠りたいな』
名残惜しい気持ちが、ふたりの間に満ちていく。
「……そろそろ、切らなあかんな」
『……うん。でも、ねえ……今度、いつ帰ってこれそう?』
「まだハッキリとは言えへんけど、来週には落ち着くと思う。予定立てて、真っ先にお前に会いに帰る」
『……約束?』
「もちろん。ぎゅってして離さへんからな」
『うん……おやすみ、センラさん』
「おやすみ、。……好きやで」
この夜、センラは布団に潜りながら、先ほど聞いたの声を思い出していた。
けれど、その言葉のぬくもりは、耳元で囁かれたように優しかった。
「……好きやで。」