第5章 朝の余韻
「寂しかった……?」
の問いに、センラは短く息をつきながら頷いた。
「寂しかった。……お前の声、仕草、体温、ぜんぶ欲しくてたまらんかった」
「わたしも……いっぱい想ってた。何度も夢に見た……センラさんが、抱きしめてくれるの……」
の言葉に、センラがさらに強く抱きしめる。
彼の頬が、首元にそっと触れる。朝の柔らかな空気の中で、まだ色濃く残る余韻が、身体の奥を刺激する。
「なぁ……ほんまは、まだお前に触れてたい。もっと……心も身体も、全部欲しいって思ってまう……」
「……それって……昨日の続き、したいってこと……?」
くすっと笑うに、センラが苦笑まじりにキスを落とす。
「……なぁ、もう無理や……お前のこと、好きすぎて……抑えきれへん……全部、欲しくてたまらん……」
朝の光の中で、ふたりは言葉よりも温もりを交わすように、静かに見つめ合った。
心も体も満たされたはずなのに、なぜかまた欲しくなる――そんな終わらない愛しさが、胸の奥を静かに焦がしていた。
やっと会えたその夜。
そして迎えた、幸せな朝。
でもふたりは、もう知ってしまった。
お互いを想うほど、欲は深く、甘く、終わらないことを。
そうしてまた、ひとつのキスが落とされる。
それはまるで――次の夜を、約束するような。
――完――