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ふたりの熱が、肌を揺らした夜 snr 🔞

第1章 電話越しの温度、会いたさの夜に



ライブの遠征と、続く仕事。
スーツケースを抱えて、夜のホテルの廊下を歩くセンラの手の中に、重たく沈むスマートフォンがある。

「……寝てへん?」

送信したLINEは、既読にならない。
それでも、彼は画面をじっと見つめていた。
ホテルのカードキーをかざして、静かに扉を開ける。
足を踏み入れた客室は、機械的に整えられたベッドと灯りだけが迎えてくれる。
なんとなくカーテンに手を伸ばし、静かに開くと、ガラス越しに広がる夜景が目に飛び込んできた。
華やかで、それなのに寂しい。

「、今頃なにしとんやろ」

喉の奥で零れた言葉が、そのまま溜息に変わる。
数分後、スマホが震えた。

『ううん、起きてる。センラさんは?』

その一文に、顔が少しだけ緩んだ。
けれど、それはほんの一瞬。

「起きてるけど、なんか眠れんくてな……お前の声、ちょっとだけ聞きたなってもうた」

送ったあと、センラはスマホを胸に落とした。
――その瞬間、着信音が鳴った。

「……えっ」

画面に映る“”の名前。
一瞬だけ驚き、すぐに微笑が漏れる。
指先でスライドすると、聞きたかった声が耳に届いた。

『……センラさん?』
「…お前の声、ほんまに安心するわ」

その声に、ふたりの距離が一気に縮まった気がした。

『私も…声、聞けて嬉しい…』
「俺もや。ずっと、会いたくてたまらんかった」
『ねぇ、今日のライブどうだった?疲れてない?』
「ん、疲れてるけど……お前の声聞いて、元気出たわ」
『そっか……それならよかった』

しばらくの沈黙。
でもそれは、苦じゃない。耳元から伝わる呼吸の音が、どこか心地いい。
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