第3章 ……への道
「蘭花…」
彼の声は震え、銃が手から滑り落ちた。
蘭花は薄れゆく意識の中で味野の顔を見上げ
「味野さん…怒らない…で…ハンは…私の…」
彼女の声は弱々しく言葉の途中で途切れた。
ハンは妹を抱きしめ味野を睨みつけた。
「てめえ…何をした!」
だが、彼は動かなかった
彼の目は蘭花の血に染まった肩を見つめただ立ち尽くしていた。
ヘリのプロペラ音が遠くで響く中、
倉庫街は静寂に包まれた
味野の心は愛と憎しみ、罪悪感と絶望で引き裂かれていた
蘭花を助けたあの夜彼女の笑顔に癒された日々そして昨夜の行為。
すべてが、心を抉り彼の胸を締め付けた
蘭花は意識を失ったまま
ギャングの仲間たちによって運ばれハンは妹を救うため、組織の隠れ家へ向かう
一方味野は倉庫街に一人残され血の跡を見つめていた
彼の頭に蘭花の言葉が響く
「それでも…味野さんが好き。
こんな私でも助けてくれたから…」
彼女は、敵である自分をただの人間として愛してくれた。
だが味野は彼女を裏切り…傷つけた
「俺は…何を…」
味野は膝をつき地面を叩く
銃は砂に埋もれ、彼の涙がその上に落ちた