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空白の少女と海の記憶

第3章 ……への道




「ギャング烏のボス…ハン。ようやく見つけた」

味野の声は低く感情が抜け落ちていた。
ハンは蘭花を背中に庇い部下たちに目配せした。

「警察の犬か。よくも俺の妹を…」

「黙れ」
味野は銃口をハンに固定した。
「お前の組織が、俺の仲間を殺した。あの夜俺の相棒は…」

その瞬間、蘭花の頭に稲妻が走った。
暗い倉庫
銃声
血の匂い。
「蘭花!」ハンの叫び声。

そして、別の声の…
味野の声「ハン! 逃がさない!」

彼女の視界が揺れ記憶の断片が洪水のように押し寄せる
あの夜、彼女はハンを守るために戦った
警察の包囲網を突破しようとしたが、銃弾を避けようと海に落ちたのだ。

「やめて…!」

記憶が戻りぐちゃぐちゃなまま彼女の叫び声が倉庫街に響く

彼女に銃を向けていたのは味野でハンは咄嗟に彼を射殺しようとしていた
そこまでは見えていた
海に落ちたあと、ハンの笑い声が聞こえたことも…。

彼女は無意識にハンの前に飛び出し両腕を広げると同時に
味野の銃口が一瞬揺れた。

「蘭花、どけ!」
味野が叫んだが彼女は動かなかった
バン
銃声が響き、蘭花の左肩に激痛が走る


彼女の体がよろめき、地面に崩れ落ちた
「蘭花!」ハンが叫び、妹を抱き上げる

血が彼女の服を赤く染めていくをの眺めながら
味野は銃を握ったまま凍りついた。
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