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空白の少女と海の記憶

第3章 ……への道



「生きてたのか、蘭花!」

ハンは一歩踏み出し、蘭花を抱きしめた。
彼女の体は固まったが彼の温もりに涙がこぼれそうになった。

「どこにいたんだ? あの夜、銃撃戦で海に落ちて…
もう死んだと思ってた」

ハンの声は震えていた
仲間たちも駆け寄り蘭花を取り囲み1人が
「ハン、俺覚えてる。 あの夜、警察の野郎どもが…」と続けたが
「黙れ!」ハンが部下を一喝する
蘭花に視線を戻し
「蘭花、何か覚えてるか? あの夜のことを」
蘭花はその言葉を否定するように首を振った

「わからない…頭が、ぼやけてて…でも、味野さんが…」

「味野?」ハンの目が鋭くなった
「誰だ、それは?」

その瞬間、背後でヘリコプターの轟音が響いた
倉庫街の上空に黒いヘリが現れ地面に着陸する。
埃が舞い上がり、蘭花を守ろうとハンたちは身構えヘリを見上げているとドアが開き降りてきたのは味野だった。

彼の目は愛情も憎しみも感じさせない
冷たい光をたたえていた

手に握られた拳銃がハンに向けられる。

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