第16章 決別
数十分後、ハンが倉庫に到着した。
闇の中で味野の遺体とそのそばに立つ蘭花を見た彼は一瞬息を飲む
血の匂いと静寂が重く蘭花の無表情な顔が彼の胸を刺したが彼はボスとしての冷徹さを崩さず感情を表情に出さなかった
「…何があった。」
ハンの声は低い
蘭花は味野から目を離さず淡々と答えた。
「取引相手の復讐。味野が…庇ってくれた。私が、最後の一人を撃ったよ…」
彼女の声には何もなかった
ハンは彼女の瞳を見たがそこに感情はなくただ闇が広がっていた
彼は一瞬目を閉じ、すぐに状況を整理し始めた。
その横で唐突に蘭花が口を開く
「ハン…お願いがある。」
彼女の声は静かだったがどこか重い決意を帯びていた。
ハンは眉をわずかに動かし彼女を見た
「私を…指名手配にして。」
ハンの目が一瞬見開かれた。
「何?」
無意識な言葉がこぼれ落ちる
蘭花は味野の遺体を見下ろし言葉を続けた