第15章 変化
数時間後...
味野は海辺の家の近くの公園でスマホを手にしていた。
夕陽が海を赤く染め冷たい風が彼の腕の傷を疼かせる
彼は蘭花に電話をかけ留守番電話に切り替わる前に彼女が応答した。
「…もしもし」
蘭花の声は静かだったが言葉に重さがあった
「悪い…さっき、言いすぎた。」
味野の声は低く謝罪に不慣れなぎこちなさが浮かぶ
「どこだ? 合流しよう。」
蘭花は一瞬沈黙し、ため息をついた。
「…うん、わかった。港の近くのベンチにいる。」
彼女の声には兄ハンとの会話を隠したままの重さがあった
味野は港へ向かったがベンチに蘭花の姿はなかった
嫌な予感が頭を過ぎる彼は周囲を見回し
市場の喧騒が遠くに響く中港の死角の路地で黒いバンのそばで動く影を捉えた
....蘭花だった。
彼女は二人の男に腕を掴まれバンに押し込まれようとしていた
彼女の目は意識があり抵抗するように身をよじっていたが怪我はないのは目視出来た
「蘭花!」味野は叫び、反射的に走り出した
彼らに叫びは聞こえるはずもなく男たちは蘭花を押し込み車が動き始めた
味野は見覚えのある男に記憶を辿る
あの夜、烏と戦った取引相手の組織
――彼らが復讐のために蘭花を狙ったのだと直感した
彼は路地を駆け車に乗りこみバンを追いかけた
銃を握る手が震え蘭花を傷つけた夜がフラッシュバックした
警官として、彼女を救うべきか。
だが、彼女は敵だ
――その葛藤を振り切り、味野は闇の中を走り続けた。