第15章 変化
味野の声は感情を抑えた口調だったが疑念が語尾に滲む
蘭花は微笑もうとしたがぎこちなかった
「…ただの知り合い。たいしたことないよ。」
「嘘つくな、蘭花。」
味野の声が鋭くなった
「お前、ずっと何か隠してるだろ
市場でコソコソ電話して…何だ? 烏の仕事か?」
彼の言葉は警官としての義務と彼女への信頼の間で揺れる葛藤を露わにしていた
蘭花の瞳が揺れた
「味野…そんなんじゃない。信じて」
彼女の声は小さかったが必死だった
市場の人混みの中で、二人の間に緊張が走った
「信じたいよ。けど、お前は…」
味野の声は冷たく、だがその奥には痛みが滲んでいた
蘭花は唇を噛み目を逸らしてしまう
「…わかった。もういい」
彼女はバッグを握りしめ人混みの中へ歩き出した。
「蘭花、待て!」
味野は呼びかけたが彼女は振り返らず
市場の反対方向へ消えていく。
味野は拳を握り苛立ちと後悔に胸を締め付ける。
彼女を疑った自分を責めつつ彼女の秘密が何かを知りたい衝動に駆られた