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空白の少女と海の記憶

第15章 変化




味野の家での生活ももう少し…。

味野の数少ない休日の朝
ふたりは港町の市場に出かけていた。



5日間の生活で二人のぎこちなさは薄れ笑顔と軽い会話が増えていたが蘭花の胸には街を離れる秘密がこころに重くのしかかっていた。

市場の喧騒の中蘭花は新鮮な場所に笑い味野は
彼女の年相応の無邪気さに心を温められていたが
彼は彼女の笑顔の裏に潜む寂しさを捉え続けていた

「味野ー!すごいね。ここ」

笑顔で振り返る蘭花
味野は「そうだな」と答えるも彼女の瞳に一瞬の曇りを見逃さなかった。

彼女が何かを隠している
――その確信が、彼の心を未だにざわつかせていた。

市場の端で蘭花が「ちょっと御手洗行ってくる」と言い離れた

味野は屋台でコーヒーを買いながらふと彼女の姿を目で追ってしまう
彼女は人混みの影でスマホを取り出し誰かと話していて
声は小さく市場の喧騒にかき消されそうだったが味野の耳に断片が届いた。

「…うん、大丈夫。…あと二日…。」

彼女の声は抑えられどこか緊張していた。
味野の胸に冷たいものが走った
警官の勘が、彼女の秘密が動き出す予感を告げている。

彼はコーヒーを手に近づき、蘭花が電話を切るのを見た
彼女は振り返り、味野と目が合うと一瞬固まった

「誰と話してた?」
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