第14章 束の間の幸福
だが味野は感じていた
――この時間が、永遠ではないことを。
蘭花は小さく笑いだがすぐに視線を海に戻した。
「敵でも…味野のそば好きだよ。」
彼女の声は小さく寂しさが滲んでいて
味野は彼女を見下ろし言葉を探したが何も言えなかった
彼女の笑顔と寂しさが彼の心をさらに揺さぶる
家に戻ると蘭花はソファに座り膝に顔を埋めた。
味野はキッチンでコーヒーを淹れながら彼女の背中を見つめた。
彼女が隠している何か
――それは、彼女をこの家から連れ去るものかもしれない。
警官としての自分は彼女を問い詰めるべきだと囁く
だが彼女の笑顔年相応の少女のような無邪気さが彼を縛っていた。
この幸せな時間が儚いものだとわかっていても彼はそれを壊せなかった...。