第14章 束の間の幸福
海辺の家に穏やかな空気が流れていた。
蘭花が味野の家に来てから5日が経ち、猶予も折り返しを迎える
初日のぎこちなさと緊張は薄れキッチンで二人で作る料理や海辺の散歩を
通じて二人は少しずつ打ち解けていた
波の音が絶えず響く家の中はまるで過去の温もりが蘇ったかのようだった。
でも蘭花の胸には街を離れることを
隠したままの重い秘密が潜んでいた。
朝、蘭花はキッチンで朝食の準備をしていて
自然な笑顔で野菜を切る彼女の手つきは初日に比べると軽やかだった。
味野はテーブルに座りコーヒーを飲みながら彼女を見ていた。
肩の傷は癒えつつあり包帯はもう外していたが袖口をまくるたびに視線がそこに落ちる
「お前、だいぶ慣れてきたな。」