第12章 新たな事件
「烏の仕事か...こんな場所で..」
警官としての冷静さと蘭花への複雑な想いがせめぎ合い
彼の銃口は蘭花を捉えたままだが撃つ意志はなかった。
彼女の左肩パーカー越しに見える包帯の膨らみが彼の罪悪感を更に抉った
あの夜彼女を撃った記憶が蘇り彼の手がわずかに震える
彼の葛藤を考えずに蘭花はナイフを下ろし一歩近づいた。
銃口が彼女の額に触れる距離
仮面の奥の瞳は見えないが彼女の声は静かでどこか信頼を帯びていた。
「味野…撃つなら、撃って。
私は敵だよ。」
彼女の言葉は抑えた口調だったが、覚悟と戸惑いが混ざっていた。
味野の顔が一瞬歪み、銃を持つ手が揺れ
彼の頭には相棒を殺した「烏」への憎しみ蘭花を抱いた夜の温もりが渦巻いていた。
感情はごちゃごちゃに絡まり警官としての義務と彼女への愛が彼を引き裂いた。
「くそっ…!」
味野の声は低く感情を押し殺したままだった
銃撃戦の喧騒が遠くで響く中警察の無線が耳に入る
「裏口封鎖! ターゲット確認!」 同僚の声が近づく中味野の葛藤は頂点に達した。
蘭花は仮面越しに彼を見つめ、そっと呟いた