第12章 新たな事件
蘭花は咄嗟に身を低くし反射的にナイフを振りかざして反撃。
暗闇で相手の姿を正確に捉えられず
彼女のナイフは味野の左腕をかすめ軽い切り傷を負わせた
「っ…!」
味野が小さく呻き腕を押さえた。
血が制服の袖を薄く染める
蘭花は一瞬動きを止め仮面の奥で目を見開いた
街灯の光が味野を照らし彼女の心臓が跳ねる
「味野…?」
彼女の声は仮面越しにくぐもり掠れた
味野もまた、彼女の声を聞き銃を握る手が凍りつき
仮面とフードに隠された姿を凝視し彼女の正体を悟った。
「蘭花…!?」
驚きと混乱が混ざった声で名を呼ぶ
銃口は彼女に向いたままだが指は引き金から離れていた。
蘭花の左肩の傷が、
まるでこの瞬間を予感していたかのように疼く。
「なんで…お前がここに…」
味野の声は抑えた口調だったが怒りと痛みが滲んでいた。
彼の腕から滴る血が地面に落ち蘭花の視線がそこに釘付けになり
仮面の下で彼女の目が揺れ彼女が負わせた傷への後悔が胸を締め付けた。
「味野…ごめん。わからなかった…」
蘭花の声は仮面越しにくすんだ響きで
彼女はフードを下げ仮面を外さずただ味野を見つめた。
仮面の白い表面は月光を反射し、
彼女の表情を完全に隠していたがその声には微かな震えがあった。