第12章 新たな事件
一方、蘭花が指揮している「烏」の構成員は引き際を熟知しており、
警察の包囲網が迫る中迅速に撤退のフェーズへ移行していた。
無線からは「全構成員、撤退確認!」という声が響く。
取引相手の組織は警察と激しく撃ち合い倉庫街は戦場と化していた。
蘭花は「烏」の一員として、
取引の監視役として潜伏していた。
黒いパーカーのフードを深くかぶり
白い仮面で表情を隠し
ナイフを握りしめてコンテナの影を移動していた
仮面は「烏の娘」としての冷徹な役割を象徴し、彼女の感情を封じ込めている
無線で撤退の指示を受けた彼女は素早く裏口へ向かおうとしたが少しの焦りが一瞬の隙を作り、
コンテナの角で足を滑らせ物音を立ててしまった。
その瞬間、背後から銃声が響く
「動くな!」
味野の声が闇を切り裂いた
彼は警察の制服に身を包み銃を構え、
フードと仮面に隠された蘭花を敵と誤認して発砲していた。
弾は彼女のすぐ横のコンテナに当たり火花が散る