第11章 蛍光灯のひかり
コンビニから二人は、
言葉もなく足を揃えて歩き出した
港の近く海岸沿いに広がる小さな広場
そこに古びた木のベンチが一つ月光の下で静かに佇んでいる
蘭花と味野はまるで引き寄せられるように
そこに腰を下ろした
潮風が冷たく、波の音が二人を包む。
月は雲の間から顔を出し海面に銀色の光を投げかけていた
味野はコンビニの袋から缶ビールを取り出しプルタブを勢いよく開けた
寝酒のために買った安物のビール
頭を傾け一気に半分以上をあおった
アルコールの苦味が、胸のざわつきを一瞬だけ和らげる。
蘭花は手に持った缶コーヒーのタブを
開けたが口をつけなかった。
彼女は缶を膝の上で握りしめ、じっと海を見つめていた。
痛みは和らいできたが肩の傷が動くたびに小さく疼いた
二人は無言だった。
言葉を出せば何かが壊れそうだった
「…肩、大丈夫か?」
味野がようやく口を開く
彼はビール缶を握りしめ蘭花の顔を見ずに言った。
「まだ…痛むか?」
蘭花は一瞬、目を上げ彼の横顔を見た。
味野の声は気遣いと罪悪感が混ざっていた。
彼女は小さく頷きパーカーの袖を押さえる