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空白の少女と海の記憶

第11章 蛍光灯のひかり



二人はコンビニの入り口でただ立ち尽くした。

「蘭花…」

蘭花を呼ぶ味野の声は今にも消えそうで

彼女の左肩包帯の膨らみをパーカーで隠しているのに気づき
彼の胸に罪悪感が蘇った

蘭花は無理に笑い缶コーヒーを掲げた

「…偶然、だね。
味野、こんな時間に何?」

彼女の声は軽く強がっていた。
だが心の中では逃げ出したい衝動と、
彼に近付きたいと願う思いがぶつかっている。

味野は言葉を探し袋を握りしめた

「…仕事帰り。たまたま、だ」

彼女の姿と見ると言いたいことは山ほどあったが口に出せなかった。

二人の間に短い沈黙が流れた
コンビニの自動ドアが誰かが出入りするたびに、冷たい空気を吐き出した。

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