• テキストサイズ

空白の少女と海の記憶

第9章 気付いてしまった孤独




夕方署に戻った味野は、
コーヒーを片手にロッカールームで一息ついていた

鏡に映る自分の顔は疲れと無表情で固まっていて
左のこめかみに残る、浅い傷がかすかに痛む。

あの夜引き金を引けなかった自分を今もどこかで呪っていた

「味野。最近、なんか変じゃね?」

同僚の一人が隣でタバコをくわえながら問う。
彼は相棒の死後
味野を気にかけてくれる数少ない仲間だった

「目が死んでるぜ。寝てんのか? 女でもできたか?」

軽い口調だったが田中の目は本気で心配していた。

味野は無理に笑いコーヒーを飲んだ

/ 65ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp