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空白の少女と海の記憶

第8章 月下の決意



味野の家を出て蘭花はハンの隠れ家に戻って来ると倉庫の奥
薄暗い部屋でハンは煙草をくわえ彼女を待っていた。

「蘭花。…話したか?」

ハンの声は煙草の煙とともに吐き出される
蘭花は包帯が巻かれている左肩をそっとおさえながら頷き静かに答えた

「うん。ちゃんと話した
私、向き合うって決めた。敵でも…愛してる」

ハンは黙って彼女を見ていたがボスとしての冷徹さと兄としての愛情が交錯する目だった。

ハンは煙草を灰皿に押しつけため息をついた
「バカな妹。
…だが、お前の選んだ道だ
俺は見てるだけだ。だが…な、蘭花」

彼は立ち上がり彼女の肩にそっと手を置いた。

「あの警官がお前をまた傷つけたら…
俺はボスとして動く。それだけは、覚えとけ」

蘭花は頷き、兄の手に自分の手を重ねた
「ありがとう、お兄ちゃん」

先程のハンとの会話で蘭花は強く振る舞った。
ハンの前で自分の愛を貫くと決意した
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