第4章 目覚め
数日後、蘭花はベッドから起き上がれるようになった。
傷はまだ痛んだが、彼女の目は澄んでいて
記憶は完全に戻っていた。
味野との日々、
海辺の家での笑顔、
初めて感じた温もり。
そして、あの夜の彼の裏切りと彼女を貫いた銃弾
その日々さえも今は彼女の一部で。
初めて得た感情が蘭花を包み込む
「お前、どこ行くんだ?」
ハンが倉庫の隠れ家で尋ねた。
蘭花は上着を羽織り、地図を手にしていた。
味野が残したあの地図
彼女はもう一度、彼に会わなければならなかった
「……味野に会いに行く。」
蘭花の声は静かだったが揺るぎなく
ハンは眉をひそめたが止めることはしない。
「気をつけろ。俺は見てるだけだ」
彼の言葉は妹への信頼と
ボスとしての線引きだった
蘭花は港の町を歩く
潮の匂いと波の音が
彼女をあの夜へと引き戻した。
味野の家は、すぐそこだった