• テキストサイズ

空白の少女と海の記憶

第4章 目覚め



数日後、蘭花はベッドから起き上がれるようになった。
傷はまだ痛んだが、彼女の目は澄んでいて
記憶は完全に戻っていた。

味野との日々、
海辺の家での笑顔、
初めて感じた温もり。
そして、あの夜の彼の裏切りと彼女を貫いた銃弾

その日々さえも今は彼女の一部で。
初めて得た感情が蘭花を包み込む

「お前、どこ行くんだ?」

ハンが倉庫の隠れ家で尋ねた。
蘭花は上着を羽織り、地図を手にしていた。
味野が残したあの地図
彼女はもう一度、彼に会わなければならなかった

「……味野に会いに行く。」

蘭花の声は静かだったが揺るぎなく
ハンは眉をひそめたが止めることはしない。

「気をつけろ。俺は見てるだけだ」

彼の言葉は妹への信頼と
ボスとしての線引きだった

蘭花は港の町を歩く
潮の匂いと波の音が
彼女をあの夜へと引き戻した。

味野の家は、すぐそこだった
/ 65ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp