第1章 1
驚きのあまり、俺は持ち上げた荷物を足の上に落とし、痛みに飛び上がった。
「いったーっ!!」
「「「「あーっはっはっはっ!!!!図星やー!!!!」」」」
「ち、ちゃうわっ!!」
さっきのラルゴと同じように、今度は俺以外の4人が手を叩いて爆笑しとる。
「くぅ……っ!!」
俺は悔しくて真っ赤になり、拳を作った。
そんな俺の横を、荷物を担いで涼しい顔をしたレグが通る。
「別に恥ずかしいことやないで~♪」
「……」
俺は無言でレグを睨んだ。
その反対側を、今度はドルチェが荷物を担いで通る。
「俺らはあの『姫様』には興味なくなったから、レガート、頑張り~♪」
「……」
レグと同じように、俺はドルチェも睨む。
俺の後ろにあるドアがパタンと閉まり────後に残ったのは、ラルゴと俺、そしてダンテ。
チラリ、とラルゴとダンテを見る。
2人は困ったような顔をして笑っとった。
「まぁ……あれやな」
「あ…そうそう、気にしない方が良いよ」
「………」
────でも。
「……分からんねや」
「「え?」」
俺は唇を噛む。
…『好き』とか『嫌い』やなくて……。
「俺はただ………話がしたい…とは…思う…」
ラルゴとダンテが目を丸くする。
それから、互いに顔を見合わせてから優しくフッと笑った。
「取り敢えず3日はカデンツァにおるんや」
「機会はあるやろ」
俺は俯き、小さく頷いた。