第1章 1
♪♪♪
ラルゴと共にダンテの部屋を後にして、神官に教えてもらった部屋へと向かう。
ラルゴは池が見たいって言ったから、俺は庭が見える方の部屋を使うことにした。
夕飯は各自の部屋に用意してあり、風呂も豪勢な造りで各々の部屋にあった。
───明日のことは考えずに、取り敢えず今日は休む、という考えのもと、俺らはそれぞれ身体を休めることにした。
が。
目が冴えて眠れない。
俺はふかふかのベッドから起き上がり、窓辺に立つ。
───せめてここから星が見えたなら。
だが窓の外は星など見えず、ただ闇が広がっとるだけやった。
俺ははぁ…とため息をつき、たくしあげたカーテンを下ろそうとした。
───その時。
サァッと小さな風が吹いたような音がして、窓の外に光が浮かぶ。
驚いた俺は思わず窓を開けた。
そして…更に驚く。
「…星や……」
───さっきまで闇だった窓の外に、星が輝いとる。
「どういうことや…?」
窓枠に手を置き、眉間にシワを寄せて外を見る。
星はキラキラと瞬くだけやった。
と。
……ららら……♪
「!!」
ゆったりとそよぐ風に乗って、微かな歌声が聞こえてきた。
…その声には…聞き覚えがあって…。
────気が付くと俺は、部屋から飛び出して、声が聞こえてくる方へと走っとった。