第4章 4
♪♪♪♪
「……ふぅ」
キーボードを叩く手を止めた俺は、傍らの冷めたコーヒーに手を伸ばした。
「あ、kiyoさん」
「うわ゛ぁぁぁ!!!!」
突然背後から名前を呼ばれ、俺はイスを揺らして飛び上がった。
同時に慌ててノートパソコンを閉じる。
振り向くと、そこにはマネージャーのあの子がビックリした顔で立っとった。
「…おぉぉ……」
「お、お疲れ様です」
「……見た?」
「え、何をですか?」
「あ…いや…」
言葉を濁した俺に、首を傾げるマネージャーのあの子。
俺はハッとして口を開く。
「何か用か?」
「あ、さっきハラさんが、ホームページの新しいレイアウトが出来たから見てほしい、って探してましたよ」
「おー、そうか。分かった、後で行くわ」
俺が頷くと、彼女も笑顔で頷き、テーブルの上のポットを持って給湯室へ入っていった。
彼女の姿が完全に見えなくなったのを確認してから、俺は閉じとったパソコンを開いた。
「ふー…危ないとこやった…」
───パソコンの画面には『GAIA─cadenza─』という表示。
「…こんなん書いたのバレたら、yasuに怒られるやろなぁ……」
そう呟いた俺は、ファイルの情報を表示し、『消去』をクリックした。
fin.