第1章 1
「あ、あの…み、道に迷ってしまって…!!道を教えてもらいたいんやけど、良いですか?すんません」
動揺して噛みながら、俺は用件を言った。
すると人影はニコリと微笑んだ。
「旅のお方かしら?」
「あ、はい!!」
「神殿内は入り組んでいるから…迷いやすいの」
「えぇ…ホンマに…」
俺が頭を掻くと人影は、左手で右側…向かい合う俺の左側を指差した。
「この道を真っ直ぐ行って、次の角を左に。その次の角を右。次の角を左。…左、右、左の順番で進んでみて。そしたらきっと、また誰かがいるわ」
そう言って人影はまた微笑んだ。
──俺の胸がざわつく。
「あ、ありがとうございました!!」
俺は慌てて頭を下げ、教えてもらった通りに走っていった。
噴水の人影に教えてもらった通りに進むと、ホンマに人がおった。
しかもそれは、さっきトイレの場所を教えてくれた神官やった。
…どうやら帰りが遅い、と捜してくれとったらしい…
神官の案内でメンバーと再度合流。
「レガート!!どこの街のトイレまで行っとんねん!!」
もちろん、怒鳴られるのも予測済み…。
…まぁ、ちとへこむけどな。
メンバーに謝りながら、一番最初に案内されたイスに座る。
「レガート、何かあったんか」
「え?何が?」
「いや…何か考えとるようやから…」
俺の隣に座るダンテが不思議そうに訊く。
「…そうか?」
俺が眉間にシワを寄せて首を傾げた時、部屋の空気がピッと緊張した。
「ん?」
「アリア様、ご到着です!!」
部屋の入り口を見ると…。