第3章 3
「………」
アリアは泣きそうな顔で頷き、俯いた。
周りの神官達がアリアの様子に慌てる。
それから、何も言わずに俺をジッと見つめる。
いくつもの視線から目を逸らした俺は、ため息をついて腹を決めた。
地面を蹴り、崖から広場に降りる。
───着地の衝撃で足が痺れてよろけたけど、気にしないことにするとして。
アリアの元へ足を進めると、神官達が道を開けた。
神官達の間を通り、アリアの目の前に立つと、アリアは俺を見つめとった。
────あんまりこういうことはしたくないんやけど………は、恥ずかしいから……。
俺は咳払いをしてから大きく息を吸い、カデンツァの街の方を指差した。
「あ!!」
咄嗟に俺の指差した方を見る神官達。
その瞬間、俺はアリアに口づけた。
次の瞬間には、風を纏った俺はまた崖の上におった。
呆然と口元を押さえながら俺を見つめるアリア。
何が起こったのか分からず、怪訝そうな顔をした神官達。
きっと赤い顔をしとる俺は、精一杯笑って崖の上からアリアに手を振った。
「また会おうな!!」
俺の言葉に泣きながら崖に駆け寄ろうとしたアリアの姿を、最後にしっかり目に焼き付けてから、俺は広場を後にした。
「レガート……!!」
……俺の名を呼ぶ、アリアの声が聞こえた。