第3章 3
「同じや」
俺の隣に立つラルゴが口を開いた。
その場の全員がラルゴを見る。
「レガートはただ……姫様に星を見せたかっただけやねん」
俺は目を丸くした。
ラルゴは更に続ける。
「確かにカデンツァの街も大切や。けどレガートは、ホンマは姫様に星空を見せたかったんや。
残念ながら今は曇っとって、星…見えんけど。アクロポリスから出たことのない姫様に、本物の星空を見せたかったんや………たとえ自分が悪になったとしても。
そこの神官さんと同じや」
「…ラルゴ…」
ラルゴは俺を見て、にっこりと笑った。
それから神官達を見る。
「レガートは、姫様に『最初の一歩』を踏み出させる手伝いをしたんや。
──だから、怒らんといて」
俺は目に熱いものを感じて、上を向いた。
大きく息を吸い、ゆっくりと吐く。
…鼻がツン、とした。
「ついでに言うと、これはキッカケや」
ダンテが横から話始める。
「これをキッカケに、姫様は今まで知らなかったもの、知らなかったことを知っていけば良いし、あんたらはそんな姫様をサポートしていけば良い。
────そうすれば、もっともっと良い歌が歌えるようになる。
独りで呟くように歌っとるよりも、もっと上手くなるで」
「そうやな。
元々の素質はええんやし、あとは心次第なんちゃう?」
「今回、レガートっちゅうヤツに出逢って思った、感じた、考えたことを大切にすれば、な」
ドルチェとレグも笑顔でアドバイスする。
「……はい」
アリアは涙を拭いながら、笑って頷いた。
「コーダ…っていったっけ」
「…はい」
ドルチェの問いかけに、コーダが身を固くする。
「確かにあんたの判断は、端から見たら間違っとったかもしれん」
「………」
「──でも、まだ、間に合うんとちゃうか?」
「……!!」
ドルチェの言葉に、俯いとったコーダの目が見開かれる。