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GAIA-cadenza-

第3章 3





「芸術の女神…ブリルランテの…子ども…?」

「うそ…」

アリアは両手で口を覆っとる。
もちろん、目は見開かれたまま。
神官達も呆然と崖の上に立つ俺らを見つめとる。
その反応に満足したように、ふん、とドルチェが鼻を鳴らした。



───俺ら楽典集団・『Arc』は、このGAIAの芸術の女神・ブリルランテの血を引いとる。
それはつまり……俺らも『神』やということ。
そして例外なく、しっかりと力も受け継いどる。
一つの街の神官が張った結界をすり抜けるなんて、朝飯前や。
……ま、すり抜ける他に、破る、っちゅう手段も使えたんやけどな、そうすると、もっと大きな騒ぎになるし。


しん、と静まり返った広場。
俺はゆっくりとコーダを見る。

「あんたは気付いとったやろ」

「……はい」

「いつから?」

「あなたがアクロポリスの外から、石柱の間の結界を通った時に。……誰かが侵入した、と感じました。場所と人物を特定しようと動き始めた時に、姫様が結界を抜けられたのを感じ、そこでやっと、一緒にいたあなたが神であると理解しました」

コーダは頭を垂れ、項垂れる。
俺は頷いた。

「…私はただ…姫様を守りたかっただけで…。………閉じ込めているつもりは…ありませんでした…」

「コーダ…」

アリアが小さく神官の名を呟く。

「初めて姫様がカデンツァに来られた日───姫様がお生まれになった日、私は姫様のお目にかかったその瞬間に、姫様をお守りするのは、私の使命だと悟りました。
小さな手のひら、小さな指、小さな足、不安気な泣き声──。この小さくか弱く尊い存在を、全ての災厄から守らなければ、と」


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