第3章 3
「まぁまぁ、2人とも落ち着こうや」
崖の上から神官達を見下ろしながら凄むドルチェとレグを、ダンテが横から宥める。
それからアリアに目を向けた。
「なぁ、姫様。レガートと一緒にいて、何か不思議に思ったことはなかったか?」
「不思議に、思ったこと……?」
ダンテの問いに、アリアは小首を傾げた。
それから、あ、と声をあげる。
「……結界…!!」
小さく叫んだアリアの声が広場に響く。
「さっき…レガートは結界に反応しなかったわ…」
その言葉に、全ての神官が驚いてアリアを見る。
───いや、全てではないな。
ある神官…コーダは伏し目がちにゆっくりとアリアに目をやった。
「さっきレガートは…『結界は施術者よりも力の弱いものを拒む』って言ってた…。コーダは……アクロポリスの神官の中でも特に強い力の持ち主なの……結界もコーダが作っていたわ」
「そんな…コーダ様の作った結界に反応しなかったなんて…」
「つまりそれは……コーダ様よりも強い力の持ち主…ということか…?」
アリアを始め、多くの神官が俺に目を向ける。
多くの視線に耐えられず、俺は顔を背けた。
ドルチェが口を開く。
「───楽典集団・『Arc』は、芸術の女神の子ども達で作られたグループや。」
ドルチェの言った言葉に、アリアと神官達が息を飲み、目を見開く。
───そう、コーダ以外の神官達が。