第3章 3
じりじりと距離を詰めてくる神官達。
俺はもう一度、ため息をついた。
それから後ろに庇っとったアリアを見る。
「ほら、お迎えやで」
「!!」
心底驚いた、というようにアリアは目を見開いた。
何か言おうとするアリアに笑うと、アリアは俯いた。
「アリアはこの街にとって大切な存在や。そんなアリアを、俺らは取り上げられん」
「レガート…!!」
俺は笑う。
「すまんな、アリア。一緒には、連れて行けん」
アリアの目にみるみる涙が溜まっていく。
そして…零れ落ちた。
俺はそれを拭いながら言う。
「俺らと一緒に来て外の世界を知る前に、アリアにはやることがあるやろ?」
「……何…?」
「カデンツァの街を知ることや」
「……」
泣きながら、アリアは頷いた。
その頭を撫でると、またアリアは俺にしがみついてきた。
……今度は、腕を回して。
ただしゃくりあげとるアリア。
「アリアがカデンツァの街を知って、何でも自分で判断出来るようになったら、またこの街に来るからな。
───その時は、一緒に連れて行ったる」
泣きながら頷くアリア。
「外の世界には美味いものがいっぱいあるんやで。……いろんなものを食べさしたる。その内にカデンツァの街の食べ物が一番って思うようになるんや」
ふふふ、とやっとアリアは笑った。
「……約束よ」
「あぁ、約束」
最後に俺はギュッと、折れそうに細いアリアを抱き締めた。