第3章 3
真っ直ぐに俺を見つめるアリア。
俺もその目を見つめた。
「……何や?」
アリアは一度俯き、それから心を決めたように顔を上げた。
「………私を、一緒に…」
「姫様!!!!」
突然後ろから声がして、俺は振り向く。
その瞬間、俺目掛けて白刃が振り下ろされた。
──風を切ってきらめく刃。
俺は悲鳴を上げたアリアを庇いながら刃を避けた。
「おのれ『Arc』……!!姫様から離れろ!!」
刃を振り下ろしたのは、コーダという神官ではなかった。
後ろにいるアリアが声をあげる。
「グラーヴェ!!」
「姫様!!『Arc』から離れてください!!今…お助けしますっ」
「止めて!!グラーヴェ!!この人は…レガートは…!!」
グラーヴェ、というらしい若い神官は、大声をあげながら手に持った剣をまた振りあげる。
「グラーヴェ!!止めてーーー!!!!」
アリアの叫び、そして、振り下ろされる刃───。
───俺は目を閉じた。
キィーン!!と金属同士が激しくぶつかり合う音。
「……それくらいにしとき」
───風になびく潮風避けのローブ、落ち着いた静かな声。
俺はゆっくりと目を開けた。
「悪いな、ドルチェ」
目の前でグラーヴェの刃を受けとるのは、ドルチェ。
「……ったく。わざと避けんかったやろ、俺が来るのを見越して」
「ドルチェだけやないやろ、どうせレグとラルゴとダンテも来とるんやない?」
「当たり前やん!!レガートがどうやって姫様を口説くんか、そんなん見てみなアカンやろ!!」
俺はため息をつき、ドルチェは笑った。
「くそっ…!!『Arc』め…っ!!」
一度グラーヴェは後ろに飛びすさり、体勢を整えた。
……いつの間にか、その後ろにはコーダを始めとする他の神官達。
数人はグラーヴェと同じように剣を構えとる。
「……レガート、どうやら俺らは『Arc』としての一くくりでしか覚えてもらえんかったらしいな」
「…みたいやな」