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GAIA-cadenza-

第1章 1



♪♪♪





ここで簡単に、この世界と俺らのことを説明しとこうか。

ここはGAIA──広い大地と豊かな水に恵まれた美しい世界。
そして俺らは、『Arc』と呼ばれる楽典集団。
俺らは街から街へと旅しとる。行き先は様々や。
街を統べる長や神官、それに噂を聞いた街人から街に招待されたり、自分らが行きたい街へ向かったり。
着いた街で音を奏で、神から人間に与えられた5つの音箱の旋律を、人々が忘れないようにしとる。
……というのは建前で、ホンマはただ単純に音を奏でるのが好きなんや。

俺ら『Arc』は5人で行動しとる。
『Arc』のリーダー的存在・ドルチェ。
『Arc』のボケ的存在・ラルゴ。
『Arc』のヴィジュアル的存在・アレグロ。
『Arc』のツッコミ的存在・アンダンテ。

そして俺──『Arc』の癒し的(?)存在・レガート。





♪♪♪





近い近いと言っていたが、俺らが乗った馬車がカデンツァに着いたのは夕暮れ近く。
そこから更にアクロポリスに向かい、ようやく馬車が停まった頃には既に日は暮れた後やった。
もう夜やし、俺らを招待してくれた『姫様』とやらには、明日改めて挨拶すれば良いやろ、と思っとったけど、神殿前まで出迎えてくれた神官が「是非とも、今」って言ったから、俺らは神殿内に案内された。
…のは良い。
問題は………。

「ん?どうかしたか、レガート」

「な、何でもないっ!」


───この、尿意……!!!!


俺は唇を噛み、徐々に大きくなって押し寄せる尿意の波に耐えた。

「くっ……」

「おい、レガート、顔が真っ青やで!?」

「腹痛いんか?食い過ぎたんちゃう?」

「……」

「あのーすみませーん!!トイレ貸してもらって良いですか~?」

……助かったけどな…ドルチェ…。
……そ……そんなデカイ声で言う必要は無いやろ…っっっ!!!!


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