第2章 2
♪♪♪
───翌日。
アクロポリスの前方に位置するガイアミュージアムに、勇ましく賑やかなファンファーレが鳴り響いた。
同時に、ミュージアム内を揺るがす大歓声。
──俺達の奏でる音を聴きに来てくれた、カデンツァの街人達。
大歓声に応えながら俺達5人は、ガイアミュージアムのステージに立った。
各々の奏でる楽器を手にしたところで、リズムを取るダンテのカウントで演奏が始まる───。
街人達の大歓声の中、また、心地よい音の流れに天を仰ぐと、雲一つ無い青空が見えた。
───『ここは願えば見たい景色を映してくれる場所なの』
昨晩のアリアの言葉を思い出して、俺はハッとした。
「…この空も…作り物…か…?」
───だとしたら、アリアは本物の空を知らない。
「…そんなん…カゴの中の鳥やん…」
呟いてから俺は頭を左右に振り前を向き、音を奏でることに集中することにした。
♪♪♪
「レガート!!」
昨晩、噴水の広場に棲む鳥が夜明けを告げるまで話をしとった俺とアリアは別れ際に、今夜もまたこの場所で会おう、と約束した。
そして約束通り、夜が更けてから噴水の広場に向かうと、既にアリアは噴水の縁に腰掛けとった。
俺の姿を認めるとアリアは立ち上がり、大きく腕を振った。
「来てくれたのね、ありがとう」
嬉しそうにアリアが笑う。
俺もつられて笑いながら頷いた。
「約束…したからな」
アリアも笑顔で頷いた。
その笑顔を見ながら、俺は胸の奥で自分に言い聞かせとった。
(───アリアは、俺に会えるのが嬉しいんやない。『外』の人間に会えるのが嬉しいんや)
そう心の中で唱える度に、ズキン、とどこかが痛んだ気がした……。
───アリアは…『姫様』なんやで……。
─────これ以上、2人で会ったらあかん。