第1章 1
「いや、さっき部屋から外を見とった時に突然、それまで何も見えなかった窓の外に星が見えたから……。なるほど…確かに[星が見えたら良いのに]って思ったもんな、俺」
納得した俺は、うんうんと独り頷く。
アリアはそんな俺の様子を、さっきの俺みたいに目を丸くして見とった。
それから、ふふっと笑う。
アリアの笑い声に、俺はハッとした。
「あ、お気に障ったならごめんなさい。何か…おかしくて」
「いや…」
……完全に自分の世界に行っとった…
情けなくて恥ずかしくて、俺は頭を掻く。
アリアは噴水の縁に腰を下ろし、俺を見ながら自分の隣を軽く叩いた。
「ねぇ、座ってもう少しお話しません?」
「え?え?」
俺は狼狽えながら、アリアを二度見した。
アリアはまだトントンと、自分の隣を叩いている。
俺は軽く会釈をしてから、少し距離を開けてゆっくりとアリアの隣に座った。
「外の世界のことを教えてくださらない?」
「そ、外の世界のこと??…えーと…」
────外の世界のことって……どんなことや…????
俺は口ごもった。
「どんなことでも良いわ」
笑顔のアリア。
その笑顔が眩しくて、俺は頭を掻きながら目を逸らした。