第11章 目覚めのあと、名付けられないもの ※微
生徒たちのお見舞いも早めに済み、病室はまた静けさを取り戻した。
相「……みんな、心配してるぞ」
相澤は眠ったままのにそう呟き、そっと前髪を指で横に流す。
そのまま、無意識に頬へ手を伸ばして――
相「…………っ」
はっとして、手を引いた。
相(……何やってんだ、俺は)
気持ちを切り替えるように踵を返し、相澤は病室を出る。
自動販売機のコーヒーを買う、それだけのために。
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ゴンゴン
さっきより、少しだけ強いノック音。
ガラガラ
入ってきたのは、一人分の足音だけだった。
爆「………」
爆豪はもう一度、1人での病室を訪れた。
読んだこともねぇし、見たこともねぇ。
そもそも、興味もねぇ。
それなのに、なぜか知っている。
毒で眠らされた姫が、王子のキスで目を覚ます、そんなくだらねぇおとぎ話。
爆豪は、自分でも驚くほど静かな足取りで近づく。
前髪をそっと横に流し、頬に手を当てる。
吸い寄せられるように、顔が近づいて――
爆(……なにやってンだ、オレは)
コツン。
唇ではなく、額を軽く合わせた。
爆「はよ目ェ覚ませや……バァカ」
けれど。もしも。
ほんの少しでも、そんな奇跡があるなら。
爆豪は額を離し、ためらうように、ゆっくりと――唇へ口づけた。
爆「…………」
静かだった。
心臓の音だけがやけに響く。
モニターの電子音が、一回、二回と鳴る。
動かないまつげを、爆豪は見つめていた。
爆(ンな都合のいい話、あるわけねぇ)
爆豪は小さく舌打ちし、踵を返す。
病室を出ようと踵を返した。
「か…つき…?」
後ろから聞こえてきた、透き通るような綺麗な声が爆豪の名前を読んだ。
爆「は……?」
ゆっくり振り返ると、そこには、確かに――
目を覚ましたがいた。
綺麗な瞳と、真正面から視線がぶつかる。