第9章 酔いの夜、消えない温もり ※微
爆「……トイレ、借りてもいいか」
「ん?いいよー!」
爆豪はの後を着いていき、部屋まで足を進めた。
鍵を取り出して玄関のドアを開ける。
ふわりと柔らかい香りが漂う。
小さな観葉植物と、整えられた靴。
らしい、穏やかな空間。
笑顔で部屋の中に案内され、爆豪が一歩踏み込む。
その瞬間、背後でドアがバタッと閉まった。
次の瞬間。
「……っ!」
爆豪の腕が伸び、迷いなく後ろからの身体を引き寄せる。
抱きしめる力は強いのに、震えているのがはっきりとわかる。
爆「…」
耳元に落ちた声は、低く、掠れていた。
爆「…飲み会、楽しかったか?」
「う、うん……すごく。みんな優しくて……」
その答えを聞いた瞬間、爆豪は小さく息を吸い込んだ。
の肩に額を預け、感情を抑え込むように言葉を絞り出す。
爆「……誰にでも、あんな顔すんな」
「え……」
爆「誰だって……のこと、好きになるに決まってンだろ」
腕に、ほんの少し力がこもる。
爆「……イレイザーも、居たんだろ」
「……うん」
爆豪は歯を食いしばるように息を吐いた。
爆「わかってる。立場も、年齢も、全部」
それでも、と。
爆「……それでも、俺はお前が好きだ」
言葉は静かだった。
けれど、感情だけは隠しきれていなかった。
「かつき……」
爆「止めらんねぇんだよ。どうしたらいいのか、わかんねぇ……」
爆豪はそっとの身体を離し、正面から向き直らせる。
指先が顎に触れ、くい、と持ち上げた。
赤い瞳が、まっすぐに射抜く。
爆「……振りほどかねぇのは、優しさか?」
距離は、あと数センチ。
呼吸が重なり、唇が触れそうになって——
爆豪の動きが、ぴたりと止まった。