第9章 酔いの夜、消えない温もり ※微
道の街灯が少なくなり、夜風が少し冷たく頬を撫でた。
ふらついたが足を取られそうになる。
爆「…ほら、危ねェから」
そう言って、爆豪はの手を掴んだ。
「ふふ、ありがと!かつき〜!」
掴まれた手をぶんぶんと揺らす。
まるで子供みたいに嬉しそうに。
爆「おい!ガキかよ!!手ぇ振り回すなっ!」
強めの声とは裏腹に、手を離す気配はない。
それどころか、無意識に少しだけ力がこもる。
——小さくて、あったかい。
夜風の冷たさなんて、どうでもよくなるくらい。
「なんかたのしーね!」
爆「……はぁ。どーせ明日覚えてねぇんだろ」
ぼそっと落とした言葉は、夜に溶けていく。
隣で無邪気に笑うが気づくはずもなく。
「かつき〜、あったかいね〜」
爆「そりゃ手繋いでっからな。風も冷てェし」
「かつきの手、大きくてあったかいね!あんしんする〜!」
その一言で、爆豪の心臓が跳ねた。
顔が熱い。
酔ってもないのに、やけに体温が上がる。
爆「バカかよ…」
「ん〜?」
爆「…なんでもねェ」
静かになった夜道に、2人の足音が響いた。
春の夜風が通り抜けるたびに、の髪がふわりと揺れる。
その横顔をちらりと見て、爆豪は胸の奥で息を呑んだ。
このままずっと、手を離したくねぇ——
そう思った瞬間。
「ここだよ!送ってくれてありがとね〜」
淡々と告げられた現実に、胸の奥がきゅっと締めつけられる。
幸せな時間の終わり。
それでも。
まだ一緒にいたい。
まだ、そばにいたい。
この手の温もりを、離したくない。