第9章 酔いの夜、消えない温もり ※微
次の瞬間。
マ「っっははははは!!なにそれ反則!!可愛すぎだろ!!」
ミ「ちょっと!、無自覚で男殺しすぎ!!」
ブ「ははっ、マイクが完全に遊ばれてるな」
笑い声が一気に弾ける中——
相澤はグラスを口元に運びながら、視線を逸らした。
相(……酔うと、タチ悪いな…)
その耳が、ほんのり赤いことに気づく者はいなかった。
マイクが最後の一節を歌い終えると、周りから拍手と歓声が上がった。
マ「次は誰だ!?」
ミ「はいはい、次は♡」
ミッドナイトが勝手に曲を入れ、突然マイクを手渡す。
ミ「これなら絶対知ってるでしょ!ほら、歌ってみて♡」
「え、えぇ…?私がですか…?」
ミ「もちろん♡遠慮はいらないわ!」
は困った顔をしながらマイクを受け取る。
静かに音楽が流れ出す。
が息を吸って、最初の一音を紡いだ瞬間——
部屋の空気が、はっきりと変わった。
澄んだ声。
柔らかく、それでいて芯のある響き。
誰もが言葉を失う中、マイクが思わず目を見開く。
相澤は、隣でグラスを持ったまま視線を落とした。
……落としたはずなのに、耳はどうしてもの声を追ってしまう。
声の揺れ。
言葉に乗せた感情。
無意識に、胸の奥を掴まれる。
相(……反則だろ)
小さく息を吐き、誤魔化すようにグラスを傾ける。
マ「ちょ、ちょっと……うますぎじゃね!?!!」
ブ「お、おい……なんだこの声……」
控えめで、周囲に気を遣ってばかりのが、歌の中では迷いなく感情を解き放っている。
ミ「ふふ、やっぱりね♡、最高よ!」
拍手と歓声が一斉に弾けた。
は歌い終えると、少し息を切らしながら、照れたように笑う。
相澤は、その表情を横目で捉えてから気づかれない程度に、ほんのわずか口元を緩めた。
マ「オレより上手かった……」
ブ「あぁ、完璧だったな」
ミ「思ったとーりよ!!」
「えへへ……ありがとうございます。でも、みんなが楽しそうで……それだけで嬉しいです」
その言葉を聞いた瞬間、相澤の胸の奥に、じんわりとした温度が広がる。
理由は分からない。
ただ、目が離せなくなる。
それだけの話だ。