第6章 新たな日々、非合理的な感情
相「送ってく。行くぞ」
言われるがまま、タクシーに乗る。
「どこまで?」
運転手に住所を伝えると、車が静かに走り出す。
心地よい揺れに、急に睡魔が押し寄せた。
首が前に、後ろに、ゆっくり揺れる。
……コツン。
額が落ちかけた瞬間、相澤の肩に、そっと預けられた。
相「……無理するな」
低い声。
相澤は自分の肩に重みを感じながら、体勢を少しだけ調整した。
抱き寄せるほど近づかない。
けれど、離すほどでもない距離。
相「着いたら起こすよ」
その言葉を最後に、の意識はすっと沈んだ。
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相「……着いたぞ」
肩を軽く揺らされる。
「……ん……」
目を開けると、確かに家の前だった。
相「立てるか?」
相澤は先に降り、回り込んでドアを開ける。
差し出された手に、は少し迷ってから指を重ねた。
その瞬間、相澤の指先が、わずかに力を強める。
相「足元、気をつけろ」
タクシーを待たせたまま、エントランスまで一緒に歩く。
「……消太さん、ありがとうございます。ごめんなさい、酔っちゃって……」
相「連れてきたのは俺だ。それに……楽しそうだった」
ぽつりと、正直な言葉。
部屋の前まで来ると、相澤は一歩引いた。
相「じゃあ、また明日」
「あの……玄関で、少しだけ待ってもらえますか?」
少しだけ迷ってから、相澤は頷く。
玄関は整っていて、ほのかにいい匂いがした。
相澤は妙に落ち着かず、視線を逸らす。
すぐにが戻ってくる。
「これ……どうぞ」
差し出されたのは、水。
相「ありがとう」
受け取る、その瞬間。
また、ほんの少しだけ指が触れた。
……熱い。
相澤は、反射的にその手首を軽く掴んだ。
「……消太さん?」
相「……」
一瞬、言葉が出ない。
相澤はすぐに力を抜いたが、完全には離さなかった。
相「……今日は、もう寝ろ」
低く、抑えた声。
相「これ以上、無防備になるな」
手を離す。
距離が空いた途端、胸の奥がやけにうるさくなった。