第6章 新たな日々、非合理的な感情
少しだけ、空気が緩んだその瞬間。
と相澤は、再び目が合った。
「消太さん、改めてよろしくお願いします!」
相「――っ!!」
名前を呼ばれた、それだけ。
なのに。
胸の奥が、ぐらりと揺れた。
表情には出ていない。
声も、呼吸も、いつも通り。
それでも相澤は、自分の心臓だけが、確かに早まったことを誤魔化せなかった。
こんな感覚、今まで、一度もなかった。
相「……よ、よろしく」
そう言ってから、相澤は思わず視線を逸らした。
ほんの一瞬。
だが、それだけで十分すぎるほどだった。
その様子を見逃さなかった二人が、すぐさま距離を詰めてくる。
マ「ちょーっとちゃん!相澤、完全に固まってるから!いきなり心臓に爆弾落とさないでYo!」
ミ「やだもう〜、相澤くん。今、分かりやすく動揺してたじゃない♡」
相「……してません」
ミ「ふ〜ん?それより、あなた……ほんっとうに可愛いわね!」
勢いよく言われて、は目を瞬かせた。
「えっと……ひざしさんと、睡(ねむり)さんですよね。よろしくお願いします!」
マ&ミ「「……っっ!!!!」」
一瞬、空気が止まった。
ミ「あらやだこの子……!もう名前覚えてくれてるの!?しかも、さらっと下の名前呼び……」
胸元に手を当て、うっとりと笑う。
ミ「完全に後輩力が高すぎるわ…♡よろしくね、」
マ「……参ったなぁ」
マイクは苦笑しながら、を見つめたまま。
マ「そりゃ相澤も固まるわけだ。この距離感で来られたら、防御力ゼロだろ?」
軽口のようでいて、その視線は、ほんの一瞬だけ真剣になる。
マ「よろしくな、。いや〜…これは職員室が騒がしくなるぜ?」
相「……うるさくてすまんな」
「いえ!とても嬉しいです!ぜひ、色々教えてください!」
ぺこり、と丁寧に頭を下げる。
それだけで、2人は完全に心を掴まれていた。