第6章 新たな日々、非合理的な感情
まさか、こんな形でその言葉が叶うなんて。
校「君のことは、大学側から詳しく話を聞いているよ。それに…」
校長はちらりとオールマイトを見る。
校「オールマイトからも、強く推薦があってね。“ぜひ雄英に迎えてほしい”ってさ」
オ「いや、少し背中を押しただけさ」
「俊典さん……」
校「優秀な人材を見逃すほど、私は鈍くはないつもりなのさ」
は4月から日本で本格的にヒーロー活動を開始し、そしてここ雄英をヒーロー活動の拠点、そして同時に教員免許の取得の講習を兼ねるようになっていた。
ざっとオールマイトも同じく4月から雄英で働くことと、雇用形態についての説明を受けた後、挨拶に行こうと誘われ校長室を後にする。
ガラガラ、と職員室の扉が開く。
その瞬間、空気が変わった。
雑談が止まり、キーボードを叩く手も止まり、視線が一斉に入口へと集まる。
白いブラウスの袖から覗く細い手首、柔らかく揺れる髪。
そして、どこか人を安心させる穏やかな微笑み。
校「みんな、少し時間をもらってもいいかな」
一斉に視線が校長へ向き、自然と静まり返る。
校「忙しいところすまないね。紹介しよう。今日から雄英に加わる、新しい仲間だ」
相澤は、自席のまま椅子に深く腰掛けていた。
校長の横に立つに、視線を投げる。
——その瞬間。
相澤の目が、わずかに見開かれる。
理由は分からない。
特徴的な何かがあったわけでもない。
派手でもないし、主張も強くない。
なのに。
胸の奥が、ほんの一瞬、掴まれたような感覚。
相(……?)
記憶のどこかが、微かに軋んだ気がした。
説明のつかない違和感。
初めて見るはずなのに、初めてじゃないような。
相澤はすぐに視線を逸らす。
表情は変えない。
眠そうな目を細めただけだ。
ただ、その心臓が、ほんの少しだけ、普段より強く脈打っていたことに、本人だけが気づいていなかった。